chirohage’s blog

もんじゃ日記

LOLから学ぶ 煽り行為とその反撃の因果関係、大阪南港事件、東名高速危険運転過失致死事件との比較

【事件の概要】

https://matchhistory.jp.leagueoflegends.com/ja/#match-details/JP1/194490911/201229731?tab=overview

(1) 被告人topレーナ―(以下トップ)はbot側集団戦にtpがあるにも関わらず参加しなかったことを理由に、ベトナム人midレーナーにハテナpingやアイコンタッチ、また、ベトナム語によるチャット連文を受けた。ベトナム語なので何を言っているかわからなかったが、他挙動によりこれを暴言であると推測したトップは英語で「ベトナム人によりひどい精神攻撃をうけた、このままゲームを続行していたら控えるバイトに多大なる支障をきたすためこのゲームからは離脱する」と言って当該ゲームを離籍した。

(2) 第1審、即時評価システムはトップのみを永久BANに処することを決定した。

(3)以下トップの言い分「「俺は何も言われなければ離籍することもチャットすることもない、逆に見方がフィードしても気にしない性格をしている。皆フィードするときもあればキャリーするときもあるという考えであるからだ。なので、因果関係上(あれなければこれなし論)当該行為はミッドレーナーによる煽り行為がなかればまず発生しなかったと思われる。」

 

 

【因果関係とは】

刑法において因果関係とは、いわゆる"あれなければこれなし理論"である。

今回の事例でいう煽られなければ当該行為は発生しなかった、のがいい例である。

 

 

【因果関係を認めた事件】(読んだほうが絶対わかりやすくなるがめんどかったら下部のまとめだけでいい。)

大阪南港事件

最高裁平成2年11月20日第三小法廷決定

(昭和63年(あ)第1123号:傷害致死、障害被告事件)

(刑集44巻8号837頁,判事1368号153頁,判タ744号84頁)

 被告人はある日の午後8時頃から午後9時こ頃までの間、三重県所在の飯場において、洗面器の底や革バンドで被害者の頭部なとを多数回殴打するなどの暴行を加えた結果、恐怖心による心理的圧迫などによって、被害者の血圧を上昇させ、内因性高血圧性橋脳出血を発生させて意識消失状態に陥らせたのち、同人を大阪市住之江区南港所在の建築会社の資材置き場まで自動車で運搬し、同日午後10時40分ころ、同署に放置して立ち去ったところ、被害者は、翌日未明、内因性高血圧性橋脳出血により死亡するに至ったが、資材置き場においてうつぶせ状態で倒れていた被害者は、その存命中、何者かによって角材でその頭頂部を数回殴打されており、その暴行は、すでに発生していた内因性高血圧性橋脳出血を拡大させ、幾分か死期を早める影響を与えるものであった。

 検察官は、被告人が本件飯場において被害者に暴行を加えて失神させた後、同人を南港に運び、同所において殺意をもって角材で同人の頭部を数回殴打したとし、被害者の死因について、主位的に南港での角材殴打による脳幹部挫傷を、予備的に本件飯場におよび南港における一連の暴行に誘発された内因性高血圧性橋脳出血を主張し、いずれにせよ南港における角材殴打が被害者の死亡に対して因果関係を有するとして、被害者には殺人罪が成立すると主張したのに対し、第一審は南港における殴打は第三者によるものとの疑念が払拭できないとして、被告人が南港において角材で被害者を殴打したことを認めるにはなお合理的な疑問が残るとした。しかし、本件飯場における横行により、被害者に内因性高血圧性橋脳出血を発生または増悪拡大させて、同人を右出血の拡大進展により死亡するに至らせたのであるから、傷害致死罪の限度で被告人を有罪とした。原審(高裁)はこれを追認した、第1審、原審ともに、南港における角材による殴打は、すでに発生していた内因性高血圧性橋脳出血を拡大させ幾分か死期を早める影響を与えたが、死亡結果に対しては因果関係を有しないとした。

 

以上をまとめると、

飯場で暴行(内因性高血圧性橋脳出血)→南港へ運搬→放置→何者かによって角材でしばかれる→死亡、が一連の流れである。

さて、被告人か何者か、責任のどちらの人物にあるだろう。

これは、傷害致死事件であるから、共犯でない以上2人に死の責任を負わせることができない、なのでどちらかだけを傷害致死罪として処罰しなければならない。

では、どちらに責任をこすりつけるか、が争点になった。

直接的原因は被告人にあるが、何者かが角材でしばくのではなく助けていれば助かったかもしれないからだ。

結果、どちらが責任をおったかというと被告人が傷害致死罪に処された。

ここで理由として採用されたのが刑法総論範囲の因果関係である。

そもそも、被告人が飯場で暴行を加えていなければその後の危険含め場面は存在しえなかった、ということである。

しかしひとつ覚えてほしいことがある、それは因果関係の認定には時間的・場所的・行為の継続性が必要であることだ。

つまりは、行為と結果が関係なさそうに見えると因果関係は認めにくくなる、ということである。

 

ちなみに、みなさんご存知東名高速危険運転過失致死事件もこれを採用したと思われる。(判決文が法務省に上がっていないので報道とその他ネットニュース文献による推測)

検察は停止状態の車を0kmでの走行であると認め危険運転過失致死罪で持っていこうとしたが、裁判所が「いやそれはさすがに?」となって因果関係によって危険運転過失致死を認めた

あの事例を説明すると

煽り運転→②停車→③車の窓から暴行→④運転手でてきた→⑤トラックにひかれて死亡

結局、因果関係の認定により①から⑤の結果が招かれたとして被告人を危険運転過失致死罪とした。

しかしこれは刑法界隈では問題視されている。

それは、①と⑤が時間的・行為的に離れているからである。なぜ、③から⑤の因果関係ではなく①からの⑤の因果関係か論理的説明がなされていないのである。

 

 

さて、話はそれたが本題の事例に戻る。

事例を一連の行為にまとめると、

ベトナム人が煽った→トップがafkした→トップが処罰された

さて、ここまで読んでくれた人ならわかるが煽り行為とafk行為には因果関係の認定ができる。よって、処罰されるべきはベトナム人なのである。

 

 

おわり。