chirohage’s blog

もんじゃ日記

身近なところから刑法を学ぼうのコーナー~失火罪編~

まず断っておくが、私は件の2人にはマイナスなイメージもプラスなイメージも持っていない。以前、片方のイブリンjgにシバかれて炊いた覚えはあるがそれはそれだ。ただ、半年をかけて勉強した放火に関する罪が身近なところで起きたから私の放火罪熱が再び燃え始めただけのことである。

そして、このコーナーは刑法を全く知らない人に向けて書くのでできるだけ専門用語は使わず、使ったほうが自然な場合はそれの解説もする。

 

 

ではまず、本題の失火罪だが、条文は以下の通り

第116条
  1. 失火により、第108条*1に規定する物又は他人の所有に係る第109条*2に規定する物を焼損した者は、50万円以下の罰金に処する。
  2. 失火により、第109条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第110条に規定する物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

*1 第108条は現住建造物等放火罪といい、現に人が住んでいる建造物に対して放火を行った場合に適用されるもの。

*2 109条は非現住建造物等放火罪といい、現に人が住んでいない建造物に対して放火を行った場合に適用されるもの。

 

マンションが他人のものであるから、先の事案には1項が当てはまる。

 

そして、同時に知ってほしいものがある。

それは、刑法には保護法益という概念があるということである。これは刑法が守るべきものに対して使われる名称だが。例えば、殺人罪で言えば人の生命が保護法益になり、窃盗罪で言えば個人の財物がそれにあたる。

さて、失火罪の保護法益はというと、それは"公共"なのだ。

公共が何らかの形で侵害されれば適用される法律ということになる。

これを、上記した2項を使って説明すると、

一見、現に人が住んでいない自分の持ち家に対して放火を行っても問題なさそうではあるが、その家が例えば住宅街に隣接してるだとか、小学校の下校ルートに建っていて下校タイミングであったとか、これらのような形で公共を侵害すれば適用される、といことである。逆に言えば公共にさえ侵害が発生しない限り自分の持ち家は燃やし放題なのだ。

私が興味本位でツイートしたものに対して「当事者同時で示談が成立されれば告訴されないのだから起訴はされない」とか意味の分からない理論でつっかかれたが、ここまで読んでくれた人は理解してもらえたであろうが、そんなこと関係ないのである。

例えば、これが殺人罪等、個人対個人の罪であった場合は理解できる意見だが、今回は個人対公共なので、そもそも示談できる相手がいない。よって、行為者が罪に問われるかどうかは警察と検察次第になる。

 

そして、もう1つ知ってほしいもの。

それは、"危険犯"という概念である。

ここまでくると少し刑法チックになるが我慢してくらいついてもらいたい。

危険犯とは犯罪を分類したうちの1種である。

どういうものかというと、危険を発生させた時点で適用される法律の種のことを指す。他の例を挙げると、結果犯というものがあり、これはみんなが知っているであろう殺人罪等、何か結果が発生した時点で適用される法律の種を指す。

今回の事案でいうと、火を起こすこと自体が危険の発生に当たる。つまり、今回の事案でいうと危険はもう存在しているのだ。

この危険犯はまだ2つに分類することができる、それが具体的危険犯と抽象的危険犯だ。

具体的危険犯とは現に危険が発生したことを要する犯罪である、一方抽象的危険犯は現に危険が発生することを要しない犯罪である。

なぜ2つに分ける必要があるかというと、上記した例ように完全孤立した持ち家を燃やしても、公共に対する危険が発生しない限り、危険犯である失火罪は適用されるべきではないからである。

勘が良い読者は気づいているだろうが、失火罪第1項は抽象的危険犯で第2項は具体的危険犯なのである。

そして、先の件は抽象的危険犯に当たる。

 

ここまで知識を入れるともう先の件の全体像が見えてくる。

 

失火により他人の所有にかかる家を燃やした、ということは

抽象的危険犯である失火罪第1項に当たる上に危険はもう発生している。

保護法益が公共であるため示談などはない。

よって、先の件は逃れられない失火罪である。

あとは検察に任せた。

 

終わり。

 

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